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当店は、そば名人・故片倉康雄氏の技術と伝統を受け継ぎ、 平成二年に東京の神保町に本店を構えました。 以降多くのお客様にご愛顧をいただいております。 ここでは、そば、そして九段一茶庵の歴史を紐解き、 当店でお出しするそばの背景をご紹介したいと思います。 |
| 片倉康雄と一茶庵 |
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片倉康雄は明治三十七年、埼玉県に生まれ、二十一歳の時にわずか一週間の見習い修行だけで、東京・新宿にそば屋「一茶庵」を開店。その後、高い美意識と多彩な才能を発揮してそばの技術を磨き、生涯をかけて理想のそばを追及。後にそば名人と呼ばれた人物である。 もともと、そば屋をはじめたのは母親の打つそばに惹かれたからだという。開店当時は客から「まずいそばを食わせる店」として評判が立ち、客が全然入らない時期もあった。ろくな修行もしてこなかった片倉は一念発起し、客からそばを学ぶ姿勢に切り替えた。自分のそばをストレートに批評してくれる客を「刺客」と呼び、彼らからそばづくりの技術と心構えのヒントを会得していったのである。 数年後、片倉に転機がやってくる。そばにとろろの汁をかけた「そばとろ」が学生の間で大評判となり、後に一茶庵の名物となる。 その後、著名な文士や北大路魯山人との交流から、そば打ちの技術だけでなく、素材や道具の選定、器造りなどに傾倒し、そばを包括的に芸術の域にまで高めた。 平成七年に九十一年の人生を終えたあとも、片倉の遺志は多くのそば職人に引き継がれ、「一茶庵」直系店、系列店合わせ、現在でも国内に700人を超える弟子や孫弟子達が「一茶庵」の味を広めている。 |
| <主な参考文献> 『片倉康雄 手打そばの技術』(片倉康雄著/旭屋出版) |